日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(S) 2008(平成20)−2012(平成24)年度

研究代表者 藤田和生 (京都大学大学院文学研究科 教授)

研究紹介

進行中の研究の一部を紹介します。

イヌにおける偶発的記憶の研究

1度だけ生じた事象に関する偶発的な記憶は、エピソード記憶の1つの要素ですが、動物ではこれまでほとんど調べられていません。簡単な非訓練的方法を用いて、イヌを対象に調べています。


他者の心の理解に関する比較アイトラッキング研究

様々な静止画や動画をモニター上に提示し、それをチンパンジーや、ヒト乳幼児が見ている際の視線の動きをアイトラッカーを用いて計測することで、他者理解について調べる研究を行っています。


チンパンジーにおける認知的メタプロセスの研究

タッチパネルモニターを用い、認知的メタプロセスについて調べる課題を行っています。


乳幼児における社会性の発達に関する研究

母子間のインタラクション時の動きを、モーションキャプチャーを用いて計測する研究を行っています。


周産期(胎児〜新生児期)の知覚、認知機能の比較発達研究

周産期におけるヒトやチンパンジーの知覚−運動機能と、出生前後の発達的連続性を研究しています。4次元超音波画像診断装置、NIRS、心拍測定器、ビデオカメラなどを使って、視覚、聴覚、触覚刺激に対する反応を記録、分析しています。


他者の行為認知についての比較発達研究

視線追跡装置を使って、ヒトとチンパンジーにおける他者の行為の「目のつけどころ(認知)」についての共通性、差異性を、発達的な視点を織り交ぜながら比較研究しています。


自己の行為経験が他者の行為認知に与える影響

ヒトはどのように他者の行為を認知するようになるのでしょう。当研究室では、他者の行為認知は、自己の行為経験を基盤とするという立場から、自己の行為経験の多様性がどのように他者の行為認知を柔軟に変えるかについて、ヒト乳児の視線、行動反応を指標として調べています。


乳児−養育者間インタラクションにみるモーショニーズの役割と模倣

ヒトの養育者は乳児に対して、「ゆっくり・大げさに・区切りを明確にした」行為を無意識におこなうことが知られています。これを「モーショニーズ」といいます。モーショニーズが乳児期の模倣能力に与える影響を、行動反応を指標として調べています。


Laboratory info.教室情報

藤田和生

〒606-8501
京都市左京区吉田本町
京都大学文学研究科心理学教室
Email: kfujita_a_bun.kyoto-u.ac.jp