No.111-2(2000/4/6)


The relationship between mental rotation and representational momentum
(心的回転と表象的惰性の関係)

Munger, M. P., Solberg,S. J.& Horrocks, K. K.
Journal of Experimental Psychology:Learning, Memory, and Cognition, 1999, 25, 1557-1568.

物体が動いている一連の画像を目で追って物体の位置を記憶する課題を用いて、心的回転と表象的惰性 (representational momentum)の関係を調べる2実験をおこなった。特に、被験者(ヒト)は物体の位置を、物体の動く軌道に沿って前方に歪めた位置に誤って記憶する。表象的惰性が心的イメージに依存するのならば、表象的惰性課題における記憶の歪みの大きさと心的回転の速度には正の相関があるだろう。予想通り、心的回転速度が速いほど物体の位置に対する記憶の歪みが大きくなることが、ヒトの座標体系に適合する回転軸にみられた。加えて表象的惰性課題(implied-event task)において、心的回転速度の遅い被験者は記憶の歪みが小さかった。

(冬木)