No.112-1(2000/4/13)

Macaque monkeys categorize images by their ordinal number
(マカクザルは図形を系列順序によってカテゴリー分けしている)

Orlov, T., Yakovlev, V., Hochstein, S., & Zohary, E.
Nature, 2000, 404, 77-79.

系列順序を持った項目のリストを思い出すのは基本的な認知的技能である。しかし、恣意的な項目のリストが思い出されるのは、隣接する項目間の連合によるものなのか、あるいは個々の項目とその系列内位置の連合によるものなのかはわかっていない。本 論文では、このような記憶課題に用いられる非言語的な方略を調べるため、3頭のマカクザルに遅延系列再生課題を訓練した。30個の抽象的な図形を3個組10種に分け、時間的順序を固定して繰り返し提示した。各試行において、サルは順次提示される3個の刺激を見本として提示され、次いで同じ3個の刺激と残る27個からでたらめに選ばれた1個の妨害図形を提示された。課題は、妨害刺激に触れることなく、3個の図形をもとの順序で触ることだった。もっともよく見られた誤りは、正しい図形と(それ自身の3個組の中で)同じ系列位置を与えられた妨害図形に触れる誤りだった。つまり、サルは図形を系列位置によってカテゴリー分けする自然な傾向を持っていた。訓練を進めると、サルは妨害刺激を避ける別のいくつかの方略を使うようになった。それらの中には、見本の図形群の記憶(作業記憶)と系列内の3個組刺激間の連合を利用するものがあった。つまり、サルは彼らの生得的な傾向と課題の要求に従 って、複数の記憶方略を用いるのである。

(藤田)