No.114-2(2000/4/27)

Language discrimination by human newborns and by cotton-top tamarin monkeys.
(ヒト新生児とワタボウシタマリンによるヒト言語の弁別)

Ramus, F., Hauser, M.D., Miller, C., Morris, D., and Mehler, J.
Science, 2000, 288, 349-351.

他の動物種とは異なりヒトだけが音声言語を有効に使うことができる.しかしながら,この能力がヒトに特有な知覚的・神経生物学的メカニズムの集合に依存するものなのか,その能力の一部は他の生物にも存在するものなのかということは,まだ明らかではない.この問題を検討するために,聞き慣れない言語を弁別する能力を,ヒトの新生児とワタボウシタマリンに対して類似した方法を用いて調べた.馴化−脱馴化の手続きを用いて,ヒトの新生児とワタボウシタマリンがオランダ語と日本語の文を弁別できるが,それらが逆再生されたときには弁別できないということが示された.しかも,逆再生された発話には弁別の手がかりは存在しなかった.この結果は,ヒトの新生児が発話の特定の性質に「注目」するという傾向は,霊長類一般が共有する聴覚システムの処理によるものであることを示唆する.

(山下)