A study of multimodal motherese :
The role of temporal synchrony between verbal labels and gestures.
(多感覚母親語の研究:動作語と身振りとの時間的同調の役割)
by Lakshmi J. Gogate, Lorraine E. Bahrick, and Jilayne D. Watson
Child Development, 2000, 71, 878-894.
本研究はヨーロッパ系アメリカ人とラテン系アメリカ人の母親の、乳児に向けた多感覚コミュニケーションを調べた(被験者24人)。3段階の語彙発達レベル−語彙獲得前(5-8ヶ月)・語彙獲得初期(9-17ヶ月)群・高度語彙発達(21-30ヶ月)−による3つの年齢群を比較した。母親が乳児に、簡単な劇仕立ての挿話の中でわかりやすい対象物を使って 4つのターゲット語(新奇語)を教えた。乳児期初期には時間的同調により音節と事物との関係を学ぶが、より後には同調の役割は低減することが近年の研究で示されている。そのため、母親によるターゲットとそれ以外の名称付けを、同調性とその他のコミュニケーション様式の観点からコーディングした。その結果、ターゲット以外よりターゲットを頻繁に、母親は対象物の動きや、ある時には接触と同調させて用いた。よって「多感覚母親語」は乳児に対してターゲットの語−指示対象関係を強調しているようだ。のみならず、母親は乳児の語彙発達レベルに合わせてコミュニケーションを変容させている。語彙獲得前の乳児の母親は語彙獲得初期・高度語彙発達群の母親より、事物の動きと同調したターゲット語の使用が頻繁であった。乳児の月齢による母親の同調使用の減少は、乳児側の同調への依存の減少と並行しており、力動的で相互的な環境−有機体関係を示している。
(石田)