The ability to follow
eye gaze and its emergence during development in macaque monkeys.
(マカクザルにおける視線追従の能力とその出現)
by Ferrari,P. F. Kohler,E. Fogassi,L. & Gallese, V.
Proceedings of National Acacemy of Sciences, 2000, 97, 13997-14002
他個体の視線を追視するサルの能力は、多くの行動研究の中で議論の対象となっている。生理学的な研究では、ヒトと同じようにサルにも視線方向検出に対応する神経細胞の存在が確認されている。しかしながら、行動のレベルで、サルのそのような能力の存在や発達に関してはほとんど証拠がないのが現状である。本研究の目的はジュヴェナイルと成体のブタオザルにおいて、実験者の視線を追視するために目の動きだけを手がかりとして使う能力を評価することであった。実験では、biologicalな刺激(頭、目、および体幹の動き)が、頭部を固定された2頭の成体ザル(実験1)、およびホームケージで自由に動き回ることのできる11頭の年齢の異なるサルに(実験2)呈示された。コントロールの刺激として、nonbiologicalな刺激が用いられた。結果は、マカクは頭/目および目だけの手がかりを使用することによって実験者の視線を追視できることを示すものであった。体幹の動きやnonbiologicalな刺激は、biologicalな刺激と同じような反応を引き起こすことはできなかった。ジュヴェナイルのサルは、目だけの手がかりをもとにして自分の注意の方向を実験者にあわせることはできなかった。一般に、視線追視はジュヴェナイルよりも成体においてより頻繁に見られた。しかしながら、ヒトと同じように、マカクにおいてもそうした能力は、年齢とともに劇的に改善されるのである。そして視線追視行動の発達においては、成体期への移行期が重要な時期となる。
(板倉)