Aspects of spatial cognition in capuchins
(Cebus apella): frames of reference and scale of space.
(オマキザル(Cebus apella)の空間認知特性−参照枠と空間規模)
by Poti, P. (Instituto di Psicologia, C. N. R., Reparto di Psicologia Comparata, Italy)
Animal Cognition, 2000, 3, 69-77.
物体探索課題で動物の行動を決めるのは参照枠(空間位置を定義する1組の空間座位(loci))である。参照枠は種々の異なった規模で使われる。数多くの動物で探索戦略に関する行動研究はおこなわれているが、霊長類については比較的わずかしかおこなわれていない。4頭のオマキザル(Cebus apella)を使った実験を2つ報告する。これらは、小規模空間において、種々の参照枠の機能の相対的な強さとレベルに焦点を当てたものである。2つの同一の箱とランドマークを、回転可能な丸いプラットフォームの上に置いた。被験体が見ている前で一方の箱の下に報酬を隠し、次に、プラットフォームの回転を隠すため、衝立てを置いた。その後、衝立てを上げ、被験体に報酬を探させた。実験1では、報酬のある箱は常にランドマークの近くにあった。実験2では遠近いずれかでもあり得た。サルは、実験1では見えない回転の後にも報酬を手に入れることに成功したが、実験2では失敗した。これは次の2つのうちいずれかで説明できる。(1)オマキザルは左右の体軸に深く依存していて、それを報酬のある位置とランドマークの間の単純な連合に置き換えることしかできない。(2)オマキザルは部屋にある外的手がかりを選択した。つまり不適切な規模の手がかりを選択したために失敗した。後者の説明からさらに2つの推論が導ける。(a)オマキザルの選択は彼らの体軸に間接的に関連している。(b)ヒトとは異なり、オマキザルは小規模空間と大規模空間で認知的非対称を示す。
(藤田)