Perception of pictorial human faces by baboons: Effects of stimulus orientation on discrimination performance.
(ヒヒによる、顔写真の知覚: 弁別成績に及ぼす、刺激回転の効果)
Martin-Malivel, J., & Fagot, J.
Animal Learning & Behaviour, 2001, 29(1), 10-20
4頭のギニアヒヒを被験体として用い、コンピューター制御されたgo/no-go課題によって既知な人物の顔写真を提示し、その刺激の回転による効果を調べた。実験1において、4頭のうち2頭は、最初に成立顔の弁別を訓練し、残る2頭は倒立顔による弁別が訓 練された。訓練終了後、訓練時の顔を180度回転させて提示したところ、どちらのグ ループのヒヒも弁別成績が落ちた。実験2では、ターゲットとなる顔を提示する前に、 成立または倒立顔がプライミング刺激として提示された。その結果、どちらのグルー プも、プライミングに用いた刺激とターゲットが同じ向きの場合のほうが、そうでな いときよりも反応時間は短かった。また実験3と4において、2頭のヒヒにおいて は、顔の輪郭のバリエーションが成績を最も左右するもっとも明らかな弁別手がかり となっていることが確認された。これにより、今回の刺激を回転させたことによる効 果は、顔写真を、ヒトの顔そのものとしてではなく、単一の向きをもった意味のない 形として符号化されていたことによって引き起こされたものだったということがいえるであろう。
(足立)