No.159-1(2001/5/10)

Emergence of selective social referencing in infancy.


(乳児における選択的社会的参照の出現)

Striano, T. & Rochat, P.
Infancy, 2000, 1, 253-264.

 7カ月と10カ月の乳児が、実験者との対面場面で、リモートコントロールにより30秒間隔で断続的に吠えるイヌのおもちゃを呈示された。実験者には条件が2つあって、ひとつは乳児のほうを向いている条件(look toward condition)、もうひとつは別のほうを向いている条件(look away condition)であった。7カ月児は実験者の条件(視線の方向)にかかわらず、イヌのおもちゃが吠える前に比べて、吠えたあとに有意に長く実験者を見た。これに対して10カ月児では、実験者が乳児の方を向いているときにだけ、イヌが吠える前に比べて、吠えた後に実験者を有意に長く見た。これらの結果は、10カ月までに、乳児は、曖昧な状況の中で他者の注意が自分達に向かっているときに他者をモニターし参照するようになるということを示唆する。こうした発達は10カ月齢までの社会的参照におけるintentional stanceの出現の指標となると考えられる。

(板倉)