Primate colour predicts social status and aggressive outcome.
(霊長類でも、色が社会的地位/攻撃行動の結果を予測する)
Gerald, M. S.
Animal Behaviour, 2001, 61, 559-566.
進化生物学者にとって、昆虫や、魚類、両生類、爬虫類、鳥類において見られる色手がかりは、強く注意を引かれるものであった。一方で、哺乳類において見られる、霊長類の2次性徴に伴ったはっきりした色手がかりの機能は、よくわかっていない。幾種類かの動物では、色手がかりの変異は社会的地位の違いを予測させているのでは、と考えられており、この研究では、成体のベルベットモンキー(Ceropithecus aethiops sabaeus)における、陰嚢の色と社会的地位との関係を調べた。分析したのは、体サイズは同じぐらいだが陰嚢の色が異なる面識のない個体同士がであったときの、社会的相互作用である。陰嚢の色が濃いものは、薄いものよりも優位である、ということが予想されていた。実験的に陰嚢の色を変えたところ、陰嚢の色だけで社会的地位が予測される、という仮説は確かめられなかったが、ペア同士の陰嚢の色が異なっている場合よりも色が同じ場合の方が攻撃的である、という事実が明らかになった。本研究は、霊長類における社会的地位と色手がかりとの関係について実験的な証拠を、はじめて提示した。
(石川)