Postcoincidence trajectory duration affects motion event perception.
(衝突後の軌跡持続時間が運動イベントの知覚に影響する)
Watanabe, K., & Shimojo, S.
Perception & Psychophysics, 2001, 63(1), 16-28.
2D上で同じ視覚刺激が、等速かつ同じ速さでお互いに向かって逆向きに運動した場合、衝突する位置で運動方向が逆になった(跳ね返り知覚)か、またはお互いを通過して運動を続けた(通過知覚)かのどちらかが知覚されうる。通過したと知覚される傾向は非常に強いのだが、衝突時の音やフラッシュのようなさまざまな要因が跳ね返り知覚を誘発することが報告されている。われわれは衝突後軌跡(PCT)の持続時間を変えることで、これらの跳ね返り知覚誘発要因がもっとも効果を発揮するのに衝突後どのくらいの時間がかかるのかを検討した。跳ね返りと知覚される割合は、誘発要因があっても衝突直後には最大とはならず、150−200ms後までの間、PCTの持続時間にしたがって増加した。この結果は跳ね返り知覚誘発効果の認知バイアス仮説を明確に否定するもので、その効果が最大限発揮されるにはPCT持続時間との相互作用が必要なことを示唆している。
(佐藤)