A two-year longitudinal study of deferred imitation of object manipulation in a juvenile chimpanzee (Pan troglodytes) and orangutan (Pongo pygmaeus).
(ジュヴェナイルのチンパンジーとオランウータンにおける物体操作の延滞模倣に関する2年間の縦断的研究)
Bjorklund, D. F., Bering, J. M., & Ragan, P.
Developmental Psychobiology, 2000, 37, 229-237
2頭のenculturateされたジュヴェナイルのチンパンジーとオランウータンを対象として、物体を介した新奇な行為の延滞模倣の変化の検討を2年越しでおこなった。成績については、チンパンジーのほうが大きな進歩を見せたが、両個体とも延滞模倣を示し、2年間で成績の向上が認められた。われわれの知る限りでは、本研究は大型類人猿が、延滞模倣において縦断的な成績向上を示すことを初めて実験的に論証したものである。この結果は、これらの種において、他の認知的能力の発達(例 えば、ピアジェの発達段階で記述されたような)と一致した、成熟とともに現れ出る認知的差異を反映しているものとして、また、種に典型ではない生育環境(ヒトと多くの交流を持つような環境)がジュヴェナイルの大型類人猿の認知能力に与えうる影響を示したものとして解釈された。
(板倉)