No.165-2(2001/6/21)

Infant understanding of the referential nature of looking.

(乳児は見ることの参照的性質を理解しているのか)

Butler, S. C., Caron, A.J., & Brooks, R.
Journal of Cognition and Development, 2000, 1, 359-377.

 乳児が大人の視線を追従するのは、見ることの参照的性質を理解しているからなのか、あるいは大人の頭の向きを、興味をひく事象の場所を予測する手がかりとして利用しているからなのかを調べるため、14,18ヶ月児の視線追従行動を、視線遮蔽条件を変化させた共同視覚注意事態で調べた。すなわち(a)実験者の視線が不透明幕により遮蔽されている(幕条件)、(b)実験者の視線は遮蔽されていない(幕なし条件)と(c)不透明の幕はあるが、透明の窓が大きく開いている(窓条件)設定。乳児が大人の向きを予測手がかりにしているだけなら3条件で等しく視線追従するであろうし、見ることの参照的性格を理解しているなら、視線追従は遮蔽がないときもっとも多く、遮蔽されているときもっとも少なくなるだろう。18ヶ月の場合、参照的状態に応じた反応(幕なし条件・窓条件のときに、幕条件より多く視線追従)をした。しかし14ヶ月児は錯綜した反応傾向を見せた(幕条件の時幕なし条件より少なかったが、窓条件で最も少なかった)。これらの結果から、14ヶ月児は、18ヶ月児とは異なり、見ることの意図的性質を理解しておらず、見ることが有効であるための必須条件に関してはっきりと知ってはいないことがわかる。

(石田)