Visual categorization of natural and abstract items in forest monkeys and humans.
(森林性のサルと、ヒトの自然物と抽象物の視覚刺激を用いた概念形成)
Deputte, B. L., Pelletiew, S.,& Barbe, S.
Behaviour Processes, 2001,55, 51-64.
新奇物選好法を用いて、森林性の霊長類であるマンガベイ(Lophocebus albigena)が、natural category(食物)とabstract category(非食物)の視覚刺激を弁別、概念形成できるかを調べた。ヒトにも同刺激・同手続きで実験を行い比較した。マンガベイ4頭のうち2頭と、4人中3人のヒトが食物と、非食物の比較のときに新奇な刺激を好んで見た。これにより、彼らが2つのセットの弁別を行っているといえる。2頭のマンガベイと、1人のヒトの子供は食物をひとつのカテゴリーにまとめており、未知の食物と既知の食物を比べた場合、及び、同じ食物の違う角度からの写真を比べた場合では、新奇な刺激に対しての選好は見られなかった。反対に、カテゴリー間の比較において新奇な刺激に選好を示した大人2人では、未知・既知の食物間の比較では新奇な刺激に対する選好は見られなかったが、同じ食物の違う角度からの写真を比べた場合には選好が見られた。ヒトと比較しても、今回の結果はマンガベイが少なくとも、生態学的に意味のある自然刺激の知覚的なカテゴリーを形成することができるということを示している。
(足立)