Context, visual salience, and inductive reasoning.
(文脈、視覚的顕著性、帰納的推理)
Roberts, M. J., Welfare, H., Livermore, D. P., & Theadon, A. M.
Thinking And Reasoning, 2000, 6(4), 349-374.
推理に関する研究の重要な論争は、推論過程が領域固有(domain-specific)か領域自由(domain-free)な過程かに関して行われている。典型的に、領域固有であるとする立場を支持する証拠は、抽象課題が現実的文脈で設定された時に示される促進効果に基づいている。今回の3実験では、文脈化された、Raven's ProgressiveMatric(Richardson,1991)とAH4テストによる非言語的類推課題(Richardson、&Webster,1996)を用いて促進の原因を調べた。実験1では、文脈化されたマトリックスに対する促進効果は、元々領域固有過程を促進するように意図された教示(commentary)の外的側面であることを確認した。実験2と3では、マトリックスに対する残りの効果と類推課題でのすべての促進効果は視覚的顕著性で説明できることを示した。すなわち、項目の要素を現実的な対象に変換することで、項目と課題の内の変換ルールはより容易に同定される。したがって、単純化された抽象項目の成績 は、文脈化され項目と同等、もしくはより高くなった。促進効果は、自己に内在化されたシステム(self-containd system)を構成する領域固有過程と領域自由過程は別のものであることを示すと解釈できないと結論づけられる。次に、この結論は、領域自由過程は推理において重要ではないものとして棄却できないことを意味する。
(高橋)