Parallel working memory for spatial location and food-related object cues in foraging pigeons: Binocular and lateralized monocular performance.
(空間位置手がかりと食物指示手がかりの存在する採餌場面におけるハトの並列ワーキングメモリー:両眼での課題遂行と片側優位性が見られた単眼での課題遂行)
Prior, H. & Gunturkun, O.
Learning & Memory, 2001, 8, 44-51.
採餌場所と食物に結びついた対象とを記憶することによって、動物は採餌場面でより多くの餌を得ることができる。初期の研究では、空間位置手がかりと食物を指示する手がかりが別々に扱われてきたので、ハトが同時に存在する両者の記憶をどの程度効果的に利用することができるのか、という点を本研究では確かめた。また、片側優位性を持つ脳の構成が効果的な並列処理を促す、という仮説についても吟味した。ハトは16箇所に餌がおかれた迷路に入れられ、その中では、空間位置手がかりと食物指示手がかりの両方を使用する課題を並列に解いていかないと、最大限の餌は得られなかった。実験1では、ハトはこの課題を学習したが、空間位置手がかり課題だけを学習した場合に比べ2重課題の成績は、前半の選択場面において悪い、という結果が得られた。実験2でハトの片眼をふさぎ脳の左右半球の処理についてそれぞれ調べた結果、食物指示手がかりの区別は右目(左半球)を用いたときの方が良いことが分かり、特に前半の選択に強く現われた。単眼しか使えない時の空間位置手がかり課題の成績は両眼が使える時よりも劣っていたが、左右眼球差はなかった。以上の結果から、2重課題において空間位置手がかりの使用には左右半球差はないが、食物指示手がかりの使用には主に左半球が使用されることが示された。
(石川)