No.170-1(2001/8/2)

Clark’s nutcrackers (Nucifraga columbiana) remember the size of their cached seeds.

 

(ハイイロホシガラス(Nucifraga columbiana)は貯蔵した種子の大きさを記憶している)

Moller, A., Pavlick, A., Hile, A. G., & Balda, R. P.
Ethology, 2001, 107(5), 451-461.

 ハイイロホシガラス(Nucifraga columbiana)は地中に何千もの種子を貯蔵して、あとからその貯蓄した場所に関する空間的情報を用いて回収する。今回われわれは2つの実験で、ハイイロホシガラスが貯蔵したものについての別の情報=貯蔵した種子の大きさを記憶しているかを調べた。トリが貯蔵したものを回収する様子をビデオに記録し、そこから探り行動のときのくちばしの広さを計測した。実験1では、6羽のトリに2つの条件をほどこした。ひとつは大きな種子を貯蔵・回収させ、もうひとつはおなじことを小さい種子でおこなわせた。この実験では6羽すべてが、小さな種子条件よりも大きな種子条件の方が種子を回収しようとするときに大きくくちばしを広げた。そしてくちばしの広さは種子の大きさと有意に相関していた。実験2では、ひとつの貯蔵セッションのなかに大きい種子と小さい種子を提示した。貯蔵と回収の間の保持時間も延ばした。これらの変更は課題の困難度を高めた。7羽中6羽が回収の際、小さい種子が含まれている貯蔵地を掘るときよりも大きな種子が含まれている貯蔵地を掘るときの方がくちばしを大きく広げた。貯蔵した種子の大きさを記憶する能力は、すばやくかつうまく回収できる可能性を高めるだろう。またそれは食物供給の別のレベルの機構をもたらす。今回の実験はハイイロホシガラスが貯蔵について、場所だけでなくそれ以上のことを記憶していることを示唆するはじめての実験である。

(冬木)