No.178-1(2001/10/18)

Children's representaional theory of language: The problem of opaque contexts.

(幼児の持つことばの表象理論:不明瞭状況についての問題)

Kamawar, D.,& Olson, D, R.
Cognitive Development, 1999, 14, 531-548.

子どもは4歳ころに、行為が、世界の有り様よりは行為者による世界の表象の有り様の結果であると認識する。この理解は「心の理論」と記述される。本研究はそれにともなうことばの理論発達の可能性を調べている。そのことばの理論とは特に、不明瞭な状況において、語が単にその表現の指示対象に結びつくのではなく、その対象がいかに表象されているかを示していることの理解である。120人の3-7歳児を対象に、心の理論と(誤信念課題を用いる)、不明瞭状況への敏感さをテストした。年齢効果を除外しても、誤信念課題に正答した子どもの方が、正答しなかった子どもより、不明瞭性についての測度において好成績であった(r (117) = .2453, p < .01)。子どもは言語が世界を直接指すものではなく、世界についての話者の持つ表象を介していることに気づいていると結論される。これらの結果は、両能力が表象についての一般的な理解の発現であって、子どもたちの心とことばの理論が同じ発達の経路を辿るという見方と一致している。
(石田)