Episodic-like memory in pigeons.
(ハトのエピソード記憶的記憶)
Zentall, T. R., Clement, T. S., Bhatt, R. S., & Allen, J.
Psychonomic Bulletin & Review, 2001, 8(4), 685-690.これまで、個人的経験に関する記憶(意味記憶ではなくエピソード記憶)は、過去経験の意識的再覧(conscious review)に依存しており、従ってヒト独自のものであると言われてきた。動物のエピソード記憶的記憶を例証する試みとして、われわれはまずハトに「いまつついたか、あるいはつつかなかったか」という(非言語的)問いに答えることを訓練した。象徴見本あわせを用い、2つの線分方向を見本として分化した反応を作り、つついた後には赤の比較刺激、つつかなかった後には緑の比較刺激を選択することを強化した。そうしておいて、実験1では一方の新刺激(黄色)に対してつつき、他方の新刺激(青)に対してはつつかないという条件を設定し(ただしこれらの反応は必要ではない)、これら新刺激と赤・緑の比較刺激を用いてテストした。実験2では、新奇刺激(円形、これは自発的につついた、と暗いキー、これはつつかなかった)及び赤・緑の比較刺激でテストした。いずれの実験でも、ハトはテスト刺激に対して発された反応に合う比較刺激を選択した。すなわちハトは、自身の過去経験の特定の内容を想起できることが示された。これは彼らがエピソード記憶的記憶を形成する能力を持つという考えに合う結果である。
(藤田)