The fallacy of 'signature whistles'in bottlenose dolphins : a comparative perspective of 'signature information'in animal vocalizations.
(バンドウイルカにおける「シグニチャ−ホイッスル」に関する誤った考え:動物の発声における「シグニチャー情報」の比較による見通し)
McCowan, B., & Reiss, D.
Animal Behaviour, 2001, 62, 1151-1162.他の種での接触コールの記述とは全く異なり、集団から孤立した状況でバンドウイルカ(Tursiops truncatus)が使う接触もしくは結束コールは、個々に明確に区別でき分類的に異なった、「シグニチャ−ホイッスル」と呼ばれる口笛の型式として歴史的に記述されてきた。これらの口笛の型式は同種個体でのラベルや名前として機能するとされてきた。他の研究ではシグニチャ−ホイッスルが無いことが報告されており、又イルカは他の種と同様に、この共有された口笛型式の聴覚的な媒介変数でおそらく各個の多様性を含む顕著に共有された、口笛型式をつくる事が証明されている。イルカの口笛コミュニケーションにおける異なった研究の間の矛盾や、孤立した時の鳴き声に関するイルカと他の種との大きな違いをより理解するために、私達は、最初に又はその後にシグニチャ−ホイッスルを特徴づけた研究で使われた、実験手続きおよび方法論を再現した研究を行った。またこれらの研究とは対照的に、孤立した状況では、個々に明確に区別できるシグニチャ−ホイッスルよりも、顕著に共有された口笛様式を使うことを示す。この共有された口笛の一般的な部類は、12個体からの10の卓越したコールで、社会的に相互交渉したり孤立する状況で個体にとって顕著だと以前に報告された共有の口笛型式と同じである。この顕著に共有された口笛の型式をより分類分けした結果、この1つの口笛の型式のなかでの14の微妙な変化が、一部、個体の一致の要因になりうることが示された。それゆえ、共有された接触コール生成での個々の変化は、他の論文で報告されているように、おそらくイルカの個体認識を証明するだろう。質的又は量的な技術を用いながら、孤立したバンドウイルカにおい て、分類的に異なるシグニチャ−ホイッスル型式を使う証拠は見つけられていない。
(服部)