No.200-1(2002/4/18)

Domestic chicks' runway responses to video images of conspecifics.

(ヒヨコの同種個体のビデオ映像に対する走路反応)

Clarke, C. H., & Jones, R. B.
Applied Animal Behaviour Science, 2001, 70, 285-295.

ニワトリはとても社会的な動物なので、トリに走路を移動させて歩行や社会性、恐怖を調べる研究において、本物の同種個体は動機、あるいは目標として用いられることも多い。しかしながら、刺激となるトリの行動は変化しやすいので、被験体のトリの接近/回避反応に影響を与え、結果を混乱させる可能性もある。ニワトリは社会刺激を含むような様々なビデオ画像に対して、容易に、そして適切に行動を変更させるため、簡単に統制でき、標準化されたビデオ再生が本物のトリの代替となるかどうかを調べた。メスのISA Brown種のメンドリは8個体からなる群れに住み、そして生後2〜7日齢まで一日に10分ずつ、何も写っていないが明りをともされたテレビを呈示された。8、9日齢になると、長さ1.6mの走路の端に取りつけられたスタート箱に個別に入れられ、走路の反対の端にあるゴール箱に置かれ、選ばれた映像を映し出しているモニタへの反応が記録された。実験1では、ヒヨコは餌を食べているヒヨコのビデオ映像と音声を呈示しているモニタに対して、餌入れと背景ノイズだけが呈示されたボックスよりも有意に早く接近した。実験2では、実験1と同じ映像(同種個体が餌を食べている)にヒヨコの音声が伴った、あるいは伴っていないビデオ、またはゴール箱の映像にヒヨコの音声が付与された、あるいは付与されていないビデオをヒヨコに呈示した。ヒヨコのビデオ映像への接近は、ゴール箱にヒヨコ音声を加えた映像への接近よりも速く、ビデオ映像に音が伴っていない場合でも等しく魅力があった。ゴール箱の映像に餌を食べているヒヨコの音声を加えても、魅力は増加しなかった。この実験の結果から、テレビに映し出されたヒヨコの映像は、他のヒヨコにとって魅力を持つことが示唆された。また、ビデオ刺激の視覚と聴覚要素は付加的な効果を及ぼすのではなく、ビデオ映像の魅力が接近行動に影響していることも示された。以上をまとめると、餌を食べている同種個体のような選択的な社会的刺激のビデオ再生は、あらかじめ定められた走路に沿って自発的に移動が必要となるテストにおいて、重要な道具となり得ることが我々の発見から示唆された。

(桑畑)