Discriminating the relation between relations: The role of entropy in abstract conceptualization by baboons (Papio papio) and Humans (Homo sapiens).
(関係間の関係の弁別 −ヒヒとヒトによる抽象的概念化におけるエントロピーの役割−)
Fagot, J., Wasserman, E. A., & Young, M. E.
Journal of Experimental Psychology: Animal Behavior Processes, 2001, 27, 316-328.2個体のヒヒが関係の見本合わせに成功した。すなわち見本画面と比較画面では同じアイコンが使われていないのにかかわらず、画面内の16のアイコンが「同じ」と「違う」のうち見本と同じ関係を持つ比較画面を選択した。ヒヒは、新奇のアイコンからなる見本画面についても関係の見本合わせ行動を般化させた。さらに見本のアイコンの数や、同画面上の「同じ」と「違う」アイコン数の割合を操作して実験したところ、ヒヒの概念的行動においてエントロピーが重要な役割を果たしていることが示唆された。2個体のヒトに類似の訓練とテストを実施したところ、ヒヒと類似した行動と違う行動が見られた。本研究の結果は、ヒトやチンパンジー以外の動物が関係間の関係を弁別できることを示唆している。さらには、同異概念化の根底にはエントロピーを測るという処理があるが、ヒトによる概念化においては更なる処理が関係しているだろう、ということが示唆された。
(牛谷)