Gaze direction and maternal pitch in surprise-eliciting situations.
(驚きを惹起する状況下における乳児の注視方向と母親の声の高さ)
Reissland, N., & Shepard, J.
Infant Behavior & Development, 2002, 24, 408-417.本研究の目的は、赤ちゃんが大人からの情緒的信号を利用して、情緒と特定の状況とを関連づける(e.g. Campos & Stenberg, 1981)というだけでなく、母親の側も乳児からの情緒的情報を見つけだす(Emde, 1992)という仮説を検証することである。3,5,9ヶ月の乳児と母親という3群について、家庭において柔らかい玩具とリモコン操作できるびっくり箱とで遊ぶ場面を、映像・音声とも記録した。びっくり箱で驚きを惹起するように遊んでいるとき、母親と乳児の注視の向きと、顔の3部分における驚き・喜び・恐れの情緒表出と中立的表出とが記録された。加えて、母親の驚きの発声の平均基本周波数を分析した。母親の驚きの叫び声を、ベースラインとしての柔らかい玩具で遊んでいるときの母親の声と比較した。驚きの事象において、母親と乳児の注視の向きを乳児の月齢とともに、母親の声の高さとの関係で分析した。母親が、乳児の注視方向によって、声の高さを利用して驚きの状況を知らせているものとして、結果を論じる。
(石田)