No.213-2(2002/07/18)

Target-difining features in a "people-present/people-absent"discrimination task by pigeons.

(ハトにおける"ヒトがいる・いない"の弁別課題において、ターゲットを規定する特徴)

Aust, U., & Huber , L.
Animal Learning & Behavior, 2002, 30(2), 165-176.

Aust & Huber (2001)により、ハトが"ヒトのいる・いない"の弁別課題において、実際にはターゲットの複数の属性(例えばヒトの形状)に注意を向けていたことが報告された。本研究の目的は、ターゲットに含まれているどのような情報が弁別課題の手がかりとして用いられていたのかを特定すること、ならびに、その特徴が相互に干渉をしているのか、干渉しているのであれば、どのようにかを調べることである。6羽のハトは、go / no-go 課題により、ヒトがうつっているかいないかによってのみ分けられる2つのグループのカラー写真を弁別することを訓練された。訓練後、そのターゲットの構成要素のうちのいくつかは含むが、そのほかの特徴は含まないといったテスト刺激をさまざまなタイプについて作成し呈示した。その結果、大きさ・内部特徴に関係する属性が重要な役割を果たしていたことが示された。また、ヒトのシルエットは、"ヒトがいる"反応を引き起こすには不十分であることも示された。さらに、ヒトの形状に関する属性のなかには、"ヒトがいる"反応を引き起こすものもあったが(手や腕など)、そうでないものもあった(足・脚・あるいは肌の色)。"ヒトがいない"グループに属するが、ヒトに典型的に見られる特徴を持ったテスト刺激(ヒト以外の霊長類)に対するハトの反応は、ハトが、各特徴を加算的に扱い、弁別を行っていることを示している。まとめると今回の結果は、ハトが異なる各特徴に異なる重み付けをし、その重みを加算的にとらえるような多型概念を形成していたことを示唆している。

(足立)