Strategic navigation of two-dimensional alley mazes: comparing capuchin monkeys and chimpanzees.
(2次元迷路における戦略的航行:オマキザルとチンパンジーの比較)
Fragaszy, D., Johnson-Pynn, J., Hirsh, E., & Brakke, K.
Animal Cognition ,2002計画立案(planning)は認知の重要な構成要素である。それは例えば空間内を効率よく動き回ることに貢献する。本研究では、4頭のチンパンジーと3頭のオマキザルに新奇な2次元迷路を与え、課題パラメータの変化と計画立案の性質と効率を調べた。いずれの被験体も偶然より少ない誤反応数で課題を解決し、両種とも何らかのやり方で選択を計画していることを示す強い証拠が得られた。一連のテストの後期に提示されたより難しい迷路に対する正しい選択の確率は、初期の易しい迷路よりも高いか(チンパンジー)、変わらないか(オマキザル)であり、戦略的選択が少しずつ発達したことを示した。迷路の構造的特徴はいずれの種でも選択に影響を与えた。チンパンジーに比べるとオマキザルは、最初目標から遠ざかるが最終的には目標に到達する経路を選択することが少なかった。チンパンジーは、誤った経路に曲がるよりも、正しい経路を通り過ぎる誤りを多く犯した。チンパンジーと1頭のオマキザルは、目標から遠い系列的位置にある選択で多くの誤りを犯した。いずれの種も、およそ40%くらいの場合には、通路の行き止まりまで進む前に、誤りを修正した。これらの知見を総合すると、両種ともに、初期的計画立案能力を持つことが示されるともに、多数の同時的・系列的空間関係を持つ課題に関して戦略的な計画立案をおこなう能力を発達させうることが予測される。コンピュータ迷路パラダイムは、ヒトとヒト以外の霊長類の運動計画立案と空間知覚を同じように研究するためのよい方法である。
(藤田)