No.218-1(2002/09/05)

Individual differences in object-examining duration: do they reflect the use of different encoding strategies?

(対象物吟味の持続時間における個人差:符号化方略の違いを反映しているか)

Cassia, V. M., & Simion, F.
Cognitive Development, 2002, 89, 1-16.

乳児期における注視の持続時間の個人差が、刺激の全体的vs.特徴的属性処理と関連していることは多くの証拠が示しているところである。本研究では、8か月齢の乳児に対して対象物吟味の手法を用いて、視覚と手渡しで呈示した刺激に対して注意持続に差のある乳児たちが、その刺激の全体的vs.特徴的側面の処理という点で異なっているのだという仮説を検証した。その結果は仮説を確認するものであり、全体的・局所的両方の属性を含む対象物に馴れた後、長く吟味する者は新しい全体的側面を持つ対象物より、新しい局所的側面を持つ物に多く注意を向けた。その一方で吟味の短い者は新しい局所より新しい全体の対象物に多く注意した。これらの結果は、乳児の情報処理の指標として注視と対象物吟味という測度が非常に近似するという議論を支持するもので、この二測度が個人差の領域に対して収斂する事実を拡張している。

(石田)