No.218-2(2002/09/05)

Squirrel monkey chuck call: Vocal response to playback chucks based on acoustic structure and affiliative relationship with the caller.

(リスザルのチャックコール:音響的構造と発声個体との友好関係に基づく、チャックの再生に対する発声反応)

Soltis, J., Bernhards, D., Donkin, H., & Newman, J. D.
Cognitive Development, 2002, 57, 119-130.

リスザル(Saimiri属)のオトナのメスは、社会的に既知な個体間でチャックを交換することが多い。そして、チャック発生は個体間で音響的に異なっている。我々は2つの社会的集団(全てメス、n=10)を対象に、発声個体のアイデンティティと、音響的構造の影響がチャック再生への発声反応に及ぼす影響を調べるために、行動観察と音声再生実験、そして発生の音響的特性分析を用いた。メスは友好関係にない集団メンバーと比べて、友好関係にある親しいパートナーのチャックの再生に対して返答することが多かった。この結果から、チャック刺激が単独で呈示されても、友好的パートナーからのチャック反応を引き起こすのに十分であることがはじめて示された。さらに、メスザルは自分自身のグループの既知チャック再生に対してチャックで返答することが最も多く、コントロールの無音に対して最も少なく返答した。同種、あるいは異種リスザルの未知チャックの再生により引き起こされたチャック反応は、既知チャックと無音の中間であった。事後の判別関数分析により、メスは自分が属する社会的集団の既知チャックと音響的構造が類似しているときには、未知チャックに対しても多く反応するという予備的証拠が得られた。これらの結果は、既知グループのチャックと音響的構造が類似しているときにはチャック反応が引き起こされるというリスザルの信号処理システムにおけるエラーを暫定的に説明している。

(桑畑)