Evidence for knowledge-based category discrimination in infancy.
(乳児期における知識に基づいたカテゴリ弁別の証拠)
Pauen, S.
Child Development, 2002, 73(4), 1016-1033.対象物操作課題における乳幼児のカテゴリ弁別が,単に実験刺激の知覚的類似性の臨時的(ad hoc)な分析に基づいたものであるかどうかを調べるため2つの実験を行った.実験1Aでは,11ヶ月の被験児が1つの上位レベルカテゴリ(動物もしくは乗り物)からの4つの異なる刺激対象物を計2回操作し,続いて,既知なカテゴリからの新奇な刺激対象物と新奇カテゴリからの刺激対象物の操作を行った.グループA(N = 39)がカテゴリ間の類似性の低い,見た目に不自然さのないレプリカのおもちゃを操作したのに対し,グループB(N = 40)はカテゴリ間の類似性の高い,見た目に人工的な模型のおもちゃを操作した.実験1B(N = 40)では,10ヶ月児を対象に同様のデザインで実験を行った.実験1C(N = 20)ではテスト試行を行う順番を変えて実験を行った.実験2(N = 20)では,実験1(グループB)で用いたのと同じ,見た目の人工的な動物のおもちゃを馴化に用いたが,カテゴリ的な変化を加えることはしなかった.被験児の反応はカテゴリ的な変化に応じてのみ系統的に変化したが,カテゴリ間の類似性の程度に対しては変化しなかった.この結果は,被験児の反応が知識に基づいているという仮説を支持するものである。
(村井)