No.39-2(1998/08/26)

Functional equivalence in a California sea lion: Relevance to animal social and communicative interactions.
(カリフォルニアアシカの機能的等価性:動物の社会的相互作用との関連)

Schusterman, R. J., & Kastak, D. (University of California at Santa Cruz)
Animal Behaviour, 1998, 55, 1087-1095.

機能的等価性についての実験は、社会的、あるいは情報伝達的な文脈の中で動物がどのように個体、刺激、反応、社会的強化を同じ機能的なクラスに置くのかという点に示唆を与えてきた。Kastak & Schusterman (1994) は、アシカが同一見本合わせ課題で見本刺激にAが出た時に比較刺激のAを選ぶ、BのときにB、Cの時にCを選ぶことが出来ることを示した。その後、見本刺激がAの時にはB、Bの時にはCを選ぶ、という課題をそれぞれ30個のペアで訓練した。すると見本刺激がBの時にA、Cの時にBを選ぶ、あるいは見本刺激がAの時にC、Cの時にAを選ぶ、ということが第1試行からできた (Schusterman & Kastak, 1993)。等価なクラス(ABC)内のある1員(A)が行動の弁別刺激となった時に、その他のクラス員(B,C)も当該行動の弁別刺激となるという、演繹による対象間関係の同一性を刺激等価の現象として定義する。本研究ではアシカの持っている等価クラスの関係が、見本合わせ課題から単純弁別課題へ転移するか調べた。アシカは等価クラスのある1員が得た弁別の機能を、残りのクラス員へ30回のうち28回転移させた。等価クラス員間の代替可能性は、警戒声の表象機能のような参照コミュニケーションの分析と関係している。

(石川)