Tactile motor learning in the antennal
system of the honeybee (Apis mellifera L.).
(ミツバチの触角システムにおける触覚運動学習)
Erber, J., Pribbenow, B., Grandy, K., & Kierzek, S.
Journal of Comparative Physiology A, 1997, 181, 355-365.
小さいチューブに固定されたミツバチは、触角の届く範囲にある物体を(触角で)軽く何度も触ることで探査する。実験において、ミツバチは数分間、触角で物体を探査できた。物体を触角の届かないところへ動かすと、ミツバチは取り除かれた物体があった場所と相関を示す触角の動きを数分間示した。このような触角の動きの変化は"行動の可塑性"(behavioural plasticity)と呼ばれ、運動学習の一形態と解釈される。ミツバチは相対的に大きな表面を持つ物体にのみ行動の可塑性を示した。複眼を覆われたハチにおいて、可塑性はより顕著にみられた。行動の可塑性は物体の提示時間と関連があった。物体を繰り返し提示すると可塑性の程度は増した。30分の提示時間の後、ミツバチは、触角を物体の表面に関連した位置へ動かすことや、縁に関連した位置を避けて動かすことが有意に多くなった。物体への条件付けをミツバチに行うことで、行動の可塑性と報酬依存の学習を比較した。運動学習と報酬依存の条件付けの結果は、ミツバチが触覚による空間記憶を持つことを示唆する。
(山脇)