No.50-2(1998/12/02)

Music perception and octave generalization in monkeys.
(サルにおける音楽の知覚とオクターブ般化)

Wright, A. A., Rivera, J. J., Hulse, S. H., Shyan, M., & Neiworth, J. J.
Personal Article.

2頭のアカゲザルがオクターブ般化について、同異判断を求められる課題でテストされた。刺激は6音からなるメロディであった。8つの実験でオクターブ般化は音楽の調性の質によっていることが示された。アカゲザルはランダムな音から作られたメロディではオクターブ般化を示さなかったが、子供の歌(ハッピーバースデイ)をつかった時にはトレーニング刺激と同じぐらいよい成績でオクターブ般化を示した。この子供の歌のオクターブ般化は、2オクターブ上のメロディにも強く見られたが、半オクターブ、あるいは1オクターブ半のメロディには般化しなかった。調性感アルゴリズムに基づいて作成した調性/非調性メロディを用いた場合でも、同じ傾向が見られた。この結果は、調性感のあるメロディは音楽的ゲシュタルトをヒトと同じようにアカゲザルに作らせ、クロマ(調)が保存されるようなオクターブの移動においてもその同一性を保持した。これらの結論は、サルとヒトとの間に同じような変換、保持、処理、音楽的断片の関係性の記憶がある事を意味し、音楽知覚の進化的な起源を説明するかもしれない。

(石川)