No.54-1(1999/01/13)

The effect of background cuing on prey detection.
(被食者探知における背景手がかりの効果)

Kono, H., Reid, P. J., & Kamil, A. C.
Animal Behaviour, 1998, 56, 963-972.

被食者の検出の研究はおもに、保護色になっている探索像が捕獲にどのような影響を与えるか、という点を扱ってきた。本研究では、保護色の被食者の発見に背景の木がどのような影響を与えるかについても検証した。アオカケス (Cyanocitta cristata) が映像化されたガ:1種はカシの木が保護色 (Catocala ilia)、もう一種はカバの木が保護色 (Catocala relicta)の2種類の像を探索した。ある画像ではガが写っており、その他の画像では写っていなかった。そしてセッション内で一方の被食者だけが提示される条件と、両方の被食者がランダムに提示される条件を用意し、画像に写っている木が被食者探索の手がかりとなる場合とそうでない場合を用意した。手がかりとなる場合は、2本の木が同じでどちらの種のガがいるかわかった。手がかりとならない場合は、どちらの木も画像に含まれ、どちらかの被食者が含まれているはずであった。その結果、(1)探索像の効果は、被食者のタイプに強く現れ、背景が正しい手がかりとなる場合だけ見られた(2)正答率は上昇したが、反応潜時に変化はなかった(3)被食者がいないときの成績は、まず予想される被食者の像よりも背景の探索しにくさによって決まる。(4)探索像効果は実験の進行にしたがって減少した、事が示された。これらの結果は被食者の発見可能性は、背景によって影響を受け、そして複数の被食者タイプ、あるいは複数の背景の存在が探索像の形成に干渉することが示唆された。

(石川)