No.54-2(1999/01/13)

Why some capuchin monkeys (Cebus appella) use probing tools (and others do not).
(なぜ(できないオマキザルもいるのに)あるフサオマキザルは探索道具を使うことができるのか)

Westergaard, G. C., Lundquist, A. L., Haynie, M. K., Kuhn,H. E., & Suomi, S. J.
Journal of Comparative Psychology, 1998, 112, 207-211.

フサオマキザル(Cebus apella)に探索道具(probing tools) として棒の使用や棒の変容を促進するような課題を提示した。最初の課題提示時に、被験体が10才かあるいはそれ以上であった場合、それ以下の年齢のである場合よりも、道具を使う傾向がみられなかった。そのうえ、被験体が3才になる前に母親ザルが死んでしまった個体は、この時期まで母親ザルが生き延びていた個体よりも道具を使わない傾向がみられた。道具使用の能力は、被験体の性別や、道具の場所、あるいは未加工の道具の材料に関連がないことがわかった。被験体は道具の使用前、使用中の両方で道具を修正した、そして、道具修正の割合は被験体の年齢に応じて増加した。つまり、フサオマキザルは10歳よりも若いとすぐに道具使用を獲得でき、早期の母子関係の崩壊が道具使用行動の出現において有害な原因をもたらすことが明らかとなった。

(黒島)