Spatial scale and saccade programing.
(空間スケールとサッカードプログラミング)
Findlay, J. M., & Gilchrist, I. D. (University of Durham)
Perception, 1997, 26, 1159-1167.
サッカードが、ターゲット刺激の配置の重心(centre of gravity)に対して行われる時、眼球定位における全体効果が現れている。特に反応潜時の短いサッカードはこの効果を被りがちであるが、反応潜時の長いサッカードは(刺激配置の)細部の影響をうけるようだ。これらの効果の新しい説明を考え、探索課題において異なる刺激特性が全体効果に与える影響を調べた実験から、データを提出する。コントラストの向きが互いに異なるターゲットとディストラクターの組み合わせ(黒と白)に対する(全体)効果は、形が異なる組み合わせ(円と正方形)に対するものとは、実質的に異なる時間経過で現れる。結論として、全体効果は、高次戦略の効果や、初期視覚チャンネルにおける低空間周波数情報の自動高速処理の効果として説明できるものではない、と言える。それらに代わって、全体効果における視覚空間統合の性質は、サッカード反応の選択過程の必要かつ避けがたい部分であることが示唆される。
(山脇)