Long-and Short-looking infants' recognition of symmetrical and asymmetrical
forms.
(注視時間の長い、短い幼児における対称・非対称性の認識)
Stoecker, J, J., Colombo, J., Frick, J,. and Allen, J, R.
Journal of Experimental Child Psychology , 1999, 71, 63-78.
成人は、対称な視覚図形を非対称なものよりも早く処理する。これはおそらく、対称図形は、全体を視覚的にコード化する戦略によって処理することができるからであろう。幼児の注視時間に見られる個人差も、視覚的入力の様態とコード化様態の違いとに共変化するものと考えられてきた。この仮説では、注視時間が長いのは、部分的な視覚的特性を長時間かけて見ることによってコード化していることを反映すると考えられる。一方、注視時間が短いのは、もっと全体的に、あるいは全体から部分へという順番で見ることによって、コード化していることを反映すると考えられる。この仮説から、注視時間の短い幼児は対称的な刺激を非対称な刺激よりも早く処理するが、注視時間の長い幼児はそうでないことが予測される。ここで述べる3つの実験では、この予測を検証した。おおむね、予測に沿う結果が得られた。注視時間の個人差は視覚的なコード化あるいは精査(inspection)の様態の違いを反映するという仮説が、さらに支持される結果であった。
(粟津)