No.81-2(1999/08/05)


Constrains on problem solving and inhibition: Object retrieval in cotton-top tamarins (Saguinus oedipus oedipus).
(問題解決と抑制における制約:コットントップタマリン(Saguinus oedipus oedipus)における物体回収)

Santos, L. S., Ericson, B. N., & Hauser, M. D.
Journal of Comparative Psychology , 1999, 113, 186-193.

問題解決は、適切な解法を生み出す能力と強い不適切な行動を抑制する能力、の2つに依存している。動物は後者に関係する問題から、人工的な問題解決課題において上手に振る舞えない。この実験では、物体回収課題を用いてコットントップタマリン(Saguinus oedipus oedipus)の行動抑制について調べた。透明な箱の中の物体の取り出し口が側にあるときには、タマリンはヒトの乳児と同じように正面の何もない部分に手を伸ばす行動を抑制することができず、物体の回収ができなかった。しかし、透明な箱でのテストを行う前に不透明な箱での問題解決の訓練を受けた被験体は、完全に回収できた。これらの結果は、不適切な行動の強い偏向を抑制できないので、個体が最初から戦略を取得できることはないが、効果的な戦略を十分に訓練することによって、抑制が要求される課題での当初の問題点を乗り越えることができることを示唆している。

(石川)