No.82-2(1999/08/19)


The role of motion in children's categorization of objects.
(幼児の物体のカテゴリ形成における動きの役割)

Mak, B. S. K. & Vera A. H.
Cognition, 1999, B11-B21

知覚的な手がかりは物体の初期のカテゴリ形成において、基本的な役割をになっている。しかしながら、知覚的手がかりによって意味されるのものは、いつも明らかというわけではない。それらは静止した形の手がかりであると典型的に理解されているというのが妥当である。最近の研究の多くは、動きのような動的な知覚的手がかりもまた、カテゴリ形成の初期において重要であるかもしれないことを示唆している。本研究では、幼児における、動物と非動物の種(幾何学図形)のカテゴリ形成において、動きの果たす役割を調べた。カテゴリ形成のための手がかりとして、動きと形を直接的に組み合わせた。結果、形か動きの選択に直面した4才児は、物体が動物であろうが幾何学図形であろうがカテゴリ形成に形の手がかりよりも動きの手がかりを有意に使用した。7才児もまた、動物のカテゴリ形成をする場合には、より動きの手がかりを使う傾向があったが、幾何学図形を処理するときはそうではなかった。自然の種/人工物の区別がよりはっきりしている年長の子供たちは、動物の動きの独特さに気づいて、動きをそれらのカテゴリとより関連があるものと見たようだが、幾何学図形のカテゴリ形成には相対的に関連がうすいとみたようだ。動きに基づく動物と幾何学図形のカテゴリ形成において、この発達的な変化は、同じ課題を大人でテストすることによって、より強く確認された。大人が動物を判断する場合、より有意にその動きに基づいた判断をするが、幾何学図形では、異なることがわかった。これらの発見は、子どもは最初に動きによって物体のカテゴリ形成を行う、という見かたを支持するものであり、動きは概念獲得の過程や概念が後に形成されるためのメカニズムにおいて重要な役割を果たしている。

(黒島)