No.86-1(1999/09/16)

The Relation of Affect to Attention and Learning in Infancy.
(乳児において情動が注意と学習に及ぼす影響)

Rose, S. A., Futterweit, L. R., and Jankowski, J. J.
Child Development, 1999, 70-3, 549-559.

正の情動(positive affect)の注意と学習との関係が5,7,9ヶ月児(N=84)を対象に調べられた。情動と注意は乳児が写真を見ている間に評定された。情動は総合的なムードを中心に、全体的に判定され、その他特別に微笑(smiling)の累積時間が測定された。注意は先に判別的な認知のパフォーマンスに関係付けられている、乳児の最長(もしくはピーク)の注視の持続時間を指標にした。(連続呈示されて)見慣れた顔刺激と一連の新奇な顔刺激を区別する学習課題において、すべての月齢で、正の情動(ほぼ半数の乳児に見られた)には注視の長い持続と遅い学習との連関があった。一方、中間の(neutral)情動は短い注視と早い学習と連関があった。情動と注視の持続時間には相乗的な効果が見られ、短い注視と中間の情動を示した乳児においてより早い学習が見られた。これらの結果は、大人における正の情動と非分析的情報処理の関連を示した研究に矛盾しない。また、注視の持続の長短に関係づけた情報処理のスピードの違いと情動との連関を示唆した最初の証拠を提出したと言える。

(小杉)