Poor rearing conditions and social
stress in pigs:repeated social challenge and the effect on behavioural and physiological
responses to stressors.
(ブタにおける貧弱飼育条件と社会的ストレス:反復社会的チャレンジとストレッサーに対する行動的生理的反応への影響)
Olsson, I.A..S., de Jonge, F. H., Schuurman, T. and Helmond, F.A.
Behavioural Processes , 1999, 46, 201-215.
社会的対面および社会的・非社会的ストレッサーへ対する行動反応と生理反応へ、飼育状況がどのように影響を与えるかをメスブタを用いて調べた。ブタは貧弱環境(標準ブタ小屋)かエンリッチ環境(コブタのいる放し飼いの群)のどちらかで飼育された。14―17週のときブタは一連の社会的対面場面にさらされ、そこでは居住者のいる囲いに侵入者が導入された。その結果エンリッチ条件では居住者と侵入者の間で攻撃行動に明確な差がでたが、貧弱条件では差はみられなかった。さらに、貧弱条件下で育てられたブタは、居住者も侵入者も互いに多く傷を負わせた。このことは、貧弱条件で育てられると優劣関係を形成することが難しくなることを反映しているのではないかと示唆した。そしてそれは、これらのブタで社会的スキルの発達が阻害されていることに起因するのではないだろうか。引き続いて、新奇物体への反応、そして非社会的・社会的なストレスが成熟ブタを用いて測定された。その結果、飼育条件の影響は長く続くということを示した。またエンリッチ条件のブタは貧弱条件のブタよりもより多くの回避行動が見られるという点で、飼育条件はストレスへの取り組み反応にも影響を与ることを示している。
(徳久)