Grouping of image fragments in primary
visual cortex.
(一次視覚野における画像断片のグループ化)
Sugita, Y.
Nature,, 1999, 41, 269-272.
実際の視覚世界では、近くの物体に部分的にさえぎられて、遠くの物体の像は断片化しているが、視覚系はこれらの断片をグループとして容易にまとめている。心理物理学的データや理論的解析によれば、これらの知覚グループ化は情報処理の初期段階で起きているらしい。今回、一次視覚野(V1)の傾き選択性細胞の一部が、画像断片のグループ化を行えるような反応特性を持つことを示す。これらの細胞は、刺激図形である線分の一部が小さなパッチにより隠されると反応しなくなる。また、これらの細胞は、パッチに非交差視差を与えて、パッチが線分の奥に見えるようにした場合でも、線分に対して反応を示さない。ところが、パッチに交差視差を与えて、パッチが線分の手前側に見えるようにしてやると、再び反応を示すようになる。この結果からすると、V1のような視覚処理の初期段階にある細胞に、遮蔽物の奥にあって見えない部分の形を推測するような計算能力がすでに備わっていることになる。
(眞竹)